裾上げしたジーンズのアタリ(色落ち)を自分で作る方法【ユーズド・ダメージ加工】

積み重なったジーンズ
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ユーズド加工されたジーンズを裾上げしたときに困ってしまうのが、裾のアタリがなくなってしまうこと。
アタリ出しをしてくれる業者もありますが、自分でできるならそれに越したことはない、ということで、自力でジーンズのアタリを出す方法について解説していきます。

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アタリとパッカリング

アタリ」とは、ジーンズの色落ちのことです(より狭義の意味合いもありますが)。はいているうちにさまざまな原因で生地が擦れ、均一ではないジーンズ独特の色落ちが発生します。

はき続けたジーンズに見せるために色落ちさせるなら、紙やすりや軽石で擦るだけでいいのですが、裾に関してはもうひとつ「パッカリング」という重要な要素があります。

パッカリングとは布が引っ張られて表面がデコボコになる状態のこと
縫製においてはネガティブに使われることもあるワードですが、ジーンズではそれがナチュラルで味わいのある経年変化として受け入れられています。

はき古したジーンズの裾口は、縫い目より下の部分にパッカリングができて、その凹凸の出っ張った部分が擦れて色落ちして、縦縞になっています。しかし裾上げをしたユーズドジーンズでは、この部分がカットされてしまい見た目が不自然に。

そこで裾上げをした部分にパッカリングを作って色落ちさせ、自然な風合いに仕上げる必要があります。

裾のパッカリングの出し方

ジーンズの裾のアタリ出しにおいてもっとも重要なのは、パッカリングを作ることです。
上で述べたように、色落ちさせるのはやすりなどを使って擦るだけなので簡単なのですが、パッカリングに関してはそう簡単にはいきません。

言い方を変えれば、パッカリングさえしっかり出せれば、ジーンズの裾のアタリ出しはできたも同然です。

ではどうすればパッカリングを出せるのか。

ベースとなるのは、生地を濡らして急速に乾燥させて縮ませることです。

パッカリングは普通にジーンズをはき続けていれば、いずれは自然に出るものですが、その過程において洗濯&乾燥は欠かせません。これを裾だけに繰り返すことで、短期間でパッカリングを出すことができます。

ユニオンスペシャルによるチェーンステッチ

ジーンズにこだわりがある人は、必ず「ユニオンスペシャル」というミシンを使ったチェーンステッチで裾を仕上げます。
チェーンステッチ自体は一般的な縫い方なのですが、ユニオンスペシャルのミシンを使うことでパッカリングが出やすくなり、さらに独特の斜めにうねったビンテージジーンズっぽいパッカリングにすることができます。

真っすぐにならずにねじれが出るというのはミシンの性能としてはどうなんだという気がしますが(笑、現在ではそれがジーンズの味として重宝されるようになっています。

もし裾上げ時にチェーンステッチを選択できるのであれば、ユニオンスペシャルではなくてもパッカリングが出やすくなるのでそちらを選ぶことをオススメします。ただしパッカリングが縦にまっすぐ出やすいです。

ちなみに普通のシングルステッチでもパッカリングは出せるので、絶対にチェーンステッチでなければいけないというわけではありません。

ジーンズの裾のアタリ

ユニオンスペシャル以外だと縦にまっすぐアタリが出ることが多い

あと裾上げ時に、裾から縫い目までの幅を指定できるなら8mmにしましょう。実際に定規で測ってみるとかなり狭いと思うかもしれませんが、ユニオンスペシャルのミシンを使ったジーンズの裾上げでは、たいていこの幅で縫われます。
この幅が太くてもパッカリングに支障はないのですが、見た目的にちょっともっさり見えてしまいます。

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ジーンズの裾のアタリ出し実践編

実際にジーンズの裾のアタリ出しをやってみました。

今回用意したのは、昔スケボーをやっていたころにはいていたエクストララージ(XLARGE)のジーンズ。画像では伝わりにくいですが、かなりダボダボで時代を感じさせます。

はき古したXLARGEのジーンズ

腰ばきで裾をズルズルひいて歩いていたために裾がボロボロだったので、お直し屋でそこをカットしてもらいました。

ステッチはチェーンではなく、普通のシングルステッチです。
ユニオンスペシャルで裾上げしてくれる専門店に出すという選択肢もあったのですが、一番アタリ出しが難しそうなシングルステッチでうまくいけば、多くの人の参考になるかなと。

上で“裾から縫い目までの幅は8mm”と言っておきながらこのジーンズは1cmにしました。かなり太めのシルエットなので、あまり幅が狭いとちょっとバランスが悪く見えそうな気がしまして。

アタリがないジーンズの裾

裾上げをしてアタリがなくなった状態

最近は太めのパンツが流行りなので、もしかしたらこのジーンズを再活用できるかもという考えですが、結局はかなそうな気がすごくします(笑

話は逸れますが、なんでXLARGEはエクストララージと読むのに女性もののX-girlはそのままエックスガールなんだろう、という疑問を昔から持っていて、いまだに解決していないです。

裾濡らし&急速乾燥

まずは一度洗濯してみました。
これでパッカリングが出てくれたらありがたいのですが、そんな甘いわけはなく、見た目にまったく変化はありませんでした。
ユーズドジーンズは完全に生地が縮んでいる状態なので、一筋縄ではいきません。

というわけでここからが本番。

裾を水で濡らす

床に叩きつける

ドライヤーで急速に乾かす

上記の手順を繰り返していきます。
床に叩きつけるのは、ジーンズをはいて歩いたときに靴の甲と裾が擦れる状況や、洗濯でほかの洗濯ものや洗濯槽の内側にぶつかるときの物理的摩擦を再現したものです。ただし本当に必要な作業かどうかはわかりません(笑

実際に行った作業の流れは、浴室で洗面器に水を少し入れてそこに裾を浸し、膝のあたりを持って浴室の床に何度か叩きつけ、ドライヤーの温風ですぐに乾かす、といった感じです。

もしかしたら水ではなく熱湯のほうがいいのかも、と左裾を熱湯、右裾を水にしてこの作業を繰り返してみましたが、結果として水との違いは見られませんでした。洗いがそこまでかけられていなくて、まだ縮む余地があるジーンズなら違いが出たかもしれませんが、基本的には水でいいのではないかと思います。
水の温度よりも、濡らした生地を温風で一気に乾かす、ということのほうが、パッカリングを出す作業においては重要な気がします。

水に濡らしたジーンズの裾

水に濡らしたジーンズの裾
濡らすのは縫い目のあたりまででOK

1回目を終えてチェックしてみましたが、特に変化はありませんでした。
まあ普通にジーンズをはいていても、パッカリングがすぐに出るということはないと思うので、根気強くやっていくことにします。

1回目:特に変化なし
2回目:特に変化なし
3回目:特に変化なし
4回目:表面をなぞると凸凹が感じられるようになる
5回目:さらに凸凹が強調
6回目:凸凹があるのが見た目でわかるようになる
7回目:6回目とだいたい同じ
8回目:7回目とだいたい同じ

合計8回繰り返しましたが、6回目くらいからはあまり変化は感じられませんでした。
というわけでパッカリング出し作業はここで終えることにします。

ジーンズの裾濡らし&乾燥8回目

裾濡らし&乾燥8回目
凸凹ができている

何回繰り返すべきかは元のジーンズの状態によるところが大きいと思うので一概にはいえませんが、かなりはき古したジーンズだとだいたいこんな感じの経過をたどるのではないかと思います。

パッカリングをやすりがけ

パッカリングが十分に出たら、いよいよやすりがけの工程に移ります。

注意点としては、やすりがけはしっかりパッカリングが出た状態で行うということです。
パッカリングが出ていないのにやすりがけをしてしまうと、単に裾全体が色落ちするだけですし、パッカリングっぽく縦にやすりをかけてみても、なんだか違和感のある仕上がりになってしまいます。

やすりは100円ショップで売っている紙やすりか布やすりでOKです。
やすりは目の粗さが番手で分かれていて、数字が小さいほど荒くなります。試してみた結果、荒すぎず細かすぎない200番手くらいがちょうどいいかなと思います。100番台後半でもいいかも。

ジーンズの裾のやすりがけ

縫い目を削らないように丁寧にやすりがけ

縫い目にやすりがかからないようにして、丁寧にやすりをかけていきます。裾を紙やすりで挟むようにしてもいいですし、表側だけをなぞるようにしてもどちらでも大丈夫です。
あまり力を入れてしまうと凹の部分も削れて色落ちしてしまうので注意しましょう。

アタリが出たジーンズの裾

アタリ出し完了

上の画像が完成品です。
なかなかいい感じに仕上がったと思います。
あとは実際にはいていくうちに、さらにパッカリングが深くなり、アタリもはっきりと出てくるでしょう。

元々のジーンズの裾の色が薄すぎるとき

パッカリングの凸の部分をやすりがけすることによって、色のコントラストが出て裾のシワが強調されるのですが、ものによっては元々のジーンズの色落ちが激しすぎて、やすりで色を落としても色の差がわかりにくいことがあります。

その場合、布用の塗料で凹の部分に色を塗るという方法が考えられます。
そのジーンズの一番色が濃い部分を探し、そこと同じくらいの色合いになるように塗料を調整し、細い筆で縦にちょこちょこと塗っていきます。布に塗るとまわりにぼやっと色が広がるので、縦にぴしっとまっすぐ色が乗るという不自然な感じにはならないと思います。

ただこの方法は結構リスキーなので、裾の裏の部分などを使って練習して、いけると確信してからやることをオススメします。

私が以前、裾の染色を試したときは、この絵具のネイビーとブラックを混ぜ合わせて使いました。
パッカリングができていない状態でやったために、結果として不自然になって失敗してしまったわけですが……。それでも色合いとしては元のジーンズの色に近づけることができました。
どうせ裾の一部分にしか使わないので、染料は少量の安いものでOKです。

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ストレッチジーンズの裾のアタリ出しは難しい

最近のスリム系のジーンズは、綿100%ではなく、ポリウレタンを数パーセント織り込んだものがほとんどですが、それらストレッチジーンズの裾のアタリ出しは難易度が高いです。

ストレッチジーンズの裾-1

ストレッチジーンズの裾はパッカリングが出にくい

このジーンズは綿98%、ポリウレタン2%のストレッチスリムジーンズですが、何度濡らして乾燥させても、コンクリートに裾を思いっきり打ちつけても変化なしです。生地に伸縮性があるがゆえに、パッカリングが出にくいのだと思います。

ストレッチジーンズははきやすいみたいな風潮がありますが、個人的にはピチピチのスキニーでもないかぎりその恩恵を感じたことはないですし、年数が経つと生地に張りがなくなるように感じるので、綿100%のジーンズのほうが好きです。といってもスリムなタイプはほぼ確実に伸縮繊維が織り込まれているので、そもそも選択肢がないわけですが。

ストレッチジーンズでもアタリが絶対に出せないというわけでもない

ストレッチジーンズの裾-2

アタリが出たストレッチジーンズの裾口

上の画像は、綿98%、エラスタン(ポリウレタン)2%のストレッチスキニーパンツですが、裾にアタリが出ているのがわかると思います。
どのようにしてアタリを出したかというと、ただひたすらはき続けただけです(笑

綿100%のようにすぐには出ませんが、気長にはき続けることでいずれはアタリが出てくるものもあります。

というわけでパッカリングが出ないストレッチ系のユーズドジーンズを自力でなんとかしたい場合は、裾の不自然さに耐えつつはき続けるしかないような気がします。
思い切ってカットオフ加工(切りっぱなし)にしてみるというのもありかもしれません。

まあ出費を気にしないのであれば、ストレッチジーンズのアタリ出しを請け負っている専門業者の手に委ねるのがベストなんですけどね。

オリジナルの裾のアタリを生かす方法

上で述べたストレッチジーンズなど、パッカリングが出にくいジーンズに関しては、元のアタリを生かす方法もあります。

その方法とは、裾を外側に折って縫い合わせ、裾口のアタリの部分だけ反転して表に出すというものです。

とてもわかりやすいチュートリアルがあるので参考にしてみてください。当然ながらミシンと、自分で裾上げができるくらいの技術が必要になります。

構造上どうしても裾部分に段差ができてしまいますが、動画を見ると、うまくやればそれが気にならないレベルに仕上げることができそうです。

ただし生地の切断部分が裾の裏側に残ってしまうので、一回まくり上げるロールアップをするとそこが目立ってしまいます。
まあ自分の足の長さに合わせて裾上げするので、ロールアップする必要はないと思いますが。

あとがき

ファッションにおける細かい部分での差異というのは自己満足なところが大きいのですが、ジーンズの裾のアタリに関しては結構目立つものなんですよね。

ほんのひと手間、というには時間も労力もかかるものではありますが、よりかっこいい状態でジーンズをはくために、ぜひ自力での裾のアタリ出しにチャレンジしてみてください。

オススメの生デニム

リーバイスVC 501 1947年モデル
販売:【LEVI’S 公式通販】
ジーンズの完成系と呼ばれる
47モデルを忠実に再現。
現代でも通用するモダンなシルエット。

一からジーンズを育てていきたいという人には、本家本元リーバイス(Levi’s)のビンテージクロージング(LVC)がオススメ。
リーバイスの過去のコレクションを忠実に再現したリジッドデニム(糊付けされたままのノンウォッシュデニム)を、自分の体に合わせて育てていけます。
各年代のモデルがありますが、個人的なオススメは47モデルと66モデルです。

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