スーツをどのように着るか、そして着たあとにどのように振る舞うかによって、その人のスーツに対する知識や思い入れが表れます。そしてそれは見た目や行動の洗練さにもつながってきます。
ほんのちょっとしたことなのですが、わかる人にはわかる、スーツの着こなしと振る舞い方についての解説です。
座るときにスーツのジャケットのボタンを外す
スーツスタイルにおいては、座るときにジャケットのボタンを外してもいいことになっています。
ボタンをつけたまま座ると、窮屈になってジャケットの形が崩れてしまうためです。
これをマナーと捉える向きもあるようですが、ボタンを外さずに座ったからといってマナー違反というわけではありません。
着席するときにボタンを外して、立ち上がるときに留める。この動作をさっとできるようになると、スマートに見られます。
ジャケットのフラップを屋内ではしまう
スーツのジャケットの腰のあたりにフラップポケット(フタ付きポケット)が左右にありますが、そのフラップを屋外では外に出し、屋内では中にしまうようにします。
このフラップは元々雨やほこりよけとして作られたものであり、屋内で着ることが前提のタキシードなどのフォーマルスーツにはついていません。
ビジネススーツにおいても、屋内でフラップをしまうことでフォーマル感を演出することができます。
ただしこれはマナーというほどのものではないので、屋内でフラップを外に出していたからといってなにか問題があるわけではありません。
ネクタイにディンプルを入れる
ネクタイの結び目のところにディンプル(窪み)を入れると華やかさが出ます。
シワではなく水のしずくのような形の窪みを深めに入れるのがポイントです。
結び方はプレーンノットなど、結び目をあまり大きく作らないのが最近の流行りです。
ネクタイとラペルの幅を合わせる
ジャケットの下襟のことをラペルといいますが、ラペルの一番幅の太いところとネクタイの一番幅の太いところの長さを合わせると、スーツのVゾーンのバランスがよく見えます。
現在のビジネススーツのラペルは8cm~8.5cm程度のものが主流なので、ネクタイの幅もそれくらいが最適です。
さらにシャツの襟元から襟先までの長さをそろえると、完璧なバランスになります。
ネクタイピンを使ってネクタイを少し持ち上げる
ネクタイピン(タイバー・タイクリップ)を使うとネクタイがずれるのを防げるだけでなく、スーツの胸元に華麗さを加えることができます。
ピンの位置は少し高めの胸ポケットあたりにして、そこより上の部分のネクタイを少し持ち上げると、胸まわりに立体感が出てエレガントに見えます。
ネクタイピンをあえて斜めに挿すテクニックもありますが、その辺はお好みで。
ポケットチーフを胸のポケットに挿す
スーツのジャケットの胸ポケットに、ポケットチーフを挿すことによってオシャレ度がぐっと増します。
さまざまな挿し方がありますが、まずはベーシックなTVフォールドがオススメ。
素材はリネンかコットン、色は白で。
ちなみにこの画像の挿し方だと控えめすぎるので、もう少し上に出したほうがいいですね。
ベルトの穴は3つ目しか使わない
スーツのパンツに使うベルトにはたいてい5つの穴があいていますが、留めるのは3つ目の穴だけにします。
なぜならベルトというのは3つ目の穴を使うことによって、締めたときにもっともバランスのいい仕上がりになるように作られているからです。
1つ目と2つ目の穴を使うとベルトの余りが短く太った印象を与えてしまいますし、4つ目と5つ目の穴を使うとベルトの余りが長くなりすぎて、ぱっと見のバランスが悪くなってしまいます。
3つ目の穴以外は飾り穴と思って使わないようにしましょう。
本切羽の第1ボタンを外す
本切羽(ほんせっぱ)とは、スーツのジャケットの袖の部分が実際にボタンで開閉できるようになっているデザインのことです。高級なスーツやオーダースーツで使われることが多いです。
その本切羽の第1ボタンをあえて外すことによって、洒脱さを演出することができます。
ただしこれはオシャレとしてはかなりぎりぎりのラインであり、場合によってはだらしなく見られたり、高いスーツであることをひけらかしているように受け取られるかもしれません。というわけで、これをやるかやらないかは各人の好みと価値観で。
まあ本切羽の第1ボタンを外したからといって、高いスーツをひけらかしやがって、と思う人はまずいないとは思いますが。
まとめ
スーツ姿をよりエレガントに見せるために大切なのは、派手な色使いやアイテムではなく、立ち居振る舞いやベーシックなアイテムの使い方の「ちょっとした差異」の積み重ねです。
そこをおさえてスーツスタイルをグレードアップさせていきましょう。