ユニクロがショッピングバッグを紙袋に – それ本当に環境にいいの?

紙袋
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ユニクロやGUなどを運営するファーストリテイリングは、2019年9月1日よりプラスチック製ショッピングバッグを廃止し、再生紙等を使った環境に配慮した紙袋に切り替えることを発表しました。
日本国内では2020年1月14日よりショッピングバッグを有料化し、一枚10円(税抜)で販売するとのことです(※追記を参照)。

現在、ユニクロに限らずアパレル業界で進む環境配慮型ビジネス。その思惑についての解説です。

追記(20.8.6)
延期が続いていたショッピングバッグの有料化ですが、2020年9月1日から一枚10円(税込)で販売することが決定しました。
1/14、4/1と二度の延期があり、ようやくといった感じです。もっとも消費者にはうれしいニュースではないと思いますが。
ちなみに当初税抜きでの販売価格だったのが、税込みに変わりました。

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環境汚染について批判を浴びるファッション業界

地球の環境汚染

ファッション業界は、環境汚染批判の槍玉にあげられがちです。
ファッションというイメージが重要な価値を持つ業界にも関わらず、生産、製造、廃棄において多くの環境汚染を引き起こしているからです。
たとえば綿花の栽培に使われる大量の農薬や、生地を染色する際の化学物質の河川への流出、売れ残った商品の大量廃棄、こういったことがらはファッション業界が批判される大きな原因になっています。

これらの問題は今にはじまったことではないのですが、ファストファッションが世界を席巻し、安価な衣類が大量生産、大量消費されるようになって顕著になったといえます。
ファストファッションではありませんが、バーバリー(Burberry)が42億円相当の売れ残った商品を焼却処分して批判されたことも記憶に新しいです。

環境問題への社会の関心が高まるにつれ、アパレル企業への批判も強まり、企業はブランドの価値が環境問題への取り組みと深く関わっていることを理解します。そしてアパレル企業はサステナブル(持続可能性)というワードを前面に出し、環境問題へ取り組むようになりました。

今回のユニクロのプラスチック製の袋の廃止も、そういった流れのひとつだといえます。

なぜプラスチック製のものを減らす必要があるのか

H&Mの紙袋

ショッピングバッグの有料化といえば、一足先にH&Mが2018年の12月から行なっています。
最初のころは紙袋かプラスチック製の袋かを選べたのですが、あれはどうやら在庫分のポリ袋が残っていたからのようで、現在では紙袋のみとなっています。2019年の2月から、ZARAも紙製に切り替えました。
また、スターバックスでもプラスチック製ストローの廃止を発表するなど、アパレルに限らずプラスチック削減の動きは広がっています。

なぜプラスチック製のものをやめる必要があるのかといえば、世界中で取りざたされているプラスチックによる海洋汚染の問題があげられます。
きちんと処理されずに捨てられたプラスチックゴミは最終的に海へと行き着き、海洋生物の体に取り込まれ、生態系に大きな影響を与えます。そしてそれは巡り巡って人間の体にも影響を及ぼす可能性があります。

世界的な企業になればなるほど扱うプラスチックの量も多くなり、企業の環境に対する責任を問う声も大きくなることから、プラスチック製の袋をやめて紙袋にするといったようなことに取り組むわけです。
最近ではESG(環境/Environment、社会/Social、ガバナンス/Governance)という観点から企業を評価する傾向があり、そういった取り組みに企業は特に力を入れています。

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紙製ならいいのかという問題

ペーパーバッグ

ここで、プラスチック製ではなく紙製ならいいのか、という問題が出てきます。
いくら再生紙やFSC認証(環境保全に配慮して伐採されたものであるという認証)を受けたものを使うといっても、リサイクルや袋にする過程で多くのエネルギーを使うわけで、プラスチック製のポリ袋と比べて紙袋が本当に環境に優しいのかについては否定的な意見もあります。

とはいえ、プラスチック製にしろ紙袋にしろ、消費量は確実に減ることになるので、その点では意味があると思います。
なぜ減るかといえば有料だからです

イオンではレジ袋を有料にしたところ、レジ袋辞退率が年々増えていき、現在では80%を超えているそうです。
お金を出して袋を買いたくない、ということだけでなく、エコへの意識の高まりが、有料化によって促進されたのではないかと思います。

リデュースの点では意味がある

3R(リデュース、リユース、リサイクル)

環境に関する「3R」と呼ばれるものがあります。
リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の三つのRのことです。

このうちリサイクルに関しては、ポリ袋などプラスチックゴミに分類されるものの多くは、実際には形あるものへのリサイクルではなく、ゴミ焼却の際の燃料として使われています。その熱を発電に使うことをサーマルリサイクルといいますが、これをリサイクルに含めることについては批判的な意見が多くあります。

リユースに関しては、ユニクロのプラスチック製の袋を例にすると、これを繰り返し使う人はほとんどいないと思います。持ち手の部分も縛りやすくできていないので、ゴミの小分けに使う人も少なそうですし、おそらくそのまま捨てる人が大半ではないでしょうか。

プラスチック製の袋をやめ紙袋を有料にすることで、もっとも効果があるのはリデュースに関してです
プラスチック製の袋は廃止されるわけですから当然その分削減されますし、代替となる紙袋も有料化することで確実に消費量は減ります。

リデュース、リユース、リサイクルの並びには意味があって、この順番での取り組みが推奨されています。
今回のユニクロの取り組みは、この中でもっとも優先順位が高いリデュースにおいて大きな意味があるといえます。
また、消費者に環境問題に関心を持ってもらうきっかけにもなるのではないでしょうか。

ちなみにユニクロはオリジナルのエコバッグを販売する予定らしいです。
リデュースのあとで、またモノを買って消費する、というのもなんだかなあという気がしますし、買いものを終えたら手持ちのバッグにすっと入れるのが一番スマートではないかなと思います。

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