ミニベロ(車輪が小さい小径車)といえば街乗り用のオシャレな自転車というイメージがありますが、本格的な走りを楽しめるタイプのものもあります。
今回は、ブリヂストン(BRIDGESTONE)のコダワリが詰まったミニベロ、クエロ20F(CHERO20F)を紹介します。
クエロ20Fのデザイン
クエロの特徴としてレトロスタイルというのがあげられますが、車輪が大きいタイプのものと違ってミニベロにレトロもなにもないような気もします(笑
ぱっと見レトロ感があるのは、ステムに取りつけられた真鍮製のベルと、ヘッドチューブの変速レバーくらいです。
色はビターブラウン、ブルーグレー、コバルトグリーンの3色。
私が選んだのはブルーグレーです。水色なのですが、グレーが入っているので落ち着いた色味になっています。
前モデルとの違い
20インチのクエロは、2018年にマイナーモデルチェンジをしています。個人的にはモデルチェンジ前のほうが、ガワのデザインに関してはよかったです。
前モデルでは、トップチューブにCHeROと書かれた茶色いレザー調のバッジがあったのですが、それがなくなり直接CHEROの文字がプリントされています。バッジのほうが雰囲気があってよかったのに……。
また、前モデルにはなにも書かれていなかったダウンチューブに、BRIDGESTONE GREEN LABELの文字が。正直いらない……。特にGREEN LABELのところはフルで書かずにGLだけでよかった気が。
ネットで見たときは黒字で書かれているのかと思ったのですが、実際はブラウンで、サドルやグリップの色と調和がとれていてそこまで悪くはなかったですけども。
チェーンリング周辺は現モデルのほうがすっきりしていて、これに関してはいい変更だったと思います。
タイヤ
タイヤはブリヂストン製20インチ(20×1.35HE)セミスリックタイヤ。
タイヤの側面が黄色になっているアメサイド仕様で、クラシカルな雰囲気を醸し出しています。
チューブは仏式バルブですが、英式バルブアダプターが付属しているので、英式のポンプも使えます。
ブレーキ
ブレーキはこれまたクラシカルなカンチブレーキ。三叉のワイヤーがかっこいいです。
上のほうでレトロ感があるのはベルとシフトレバーの位置くらいと書いたのですが、こうしてパーツごとに見ていくと、レトロスタイルを徹底していますね。
変速機
変速機はリアのみで、シマノ製の8段。
前述したように、シフトレバーの位置が一般的なハンドル部ではなく、ヘッドチューブについています。
そのためギアチェンジするときは、一度片手をハンドルから離す必要があります。
ハンドルまわりがすっきりしてデザイン的にはいいのですが、やはりギアチェンジは面倒ですね。そのうち慣れるとは思いますが。
スタンド
スタンドは別売りです。
自転車と一緒に注文したところ、取りつけた状態で送ってくれました。
このスタンドは、純正の専用スタンドにもかかわらず、えらく評判が悪いです(笑
取りつけ時にフレームに傷がつきやすいみたいです。
そうした声が販売店にも届いているのか、フレームに透明なテープを巻いてその上からスタンドを取りつけてくれていました。
色は黒ですが、クエロにはシルバーのほうが合っていたと思います。
クエロ20Fの乗り心地
クエロ20Fにはフレームサイズが510mm(CHF251)と450mm(CHF245)のものがあります。
私の身長は172cmで、今回購入したのはフレームサイズが510mmのものです。これまで乗ってきたミニベロより少し大きくなった分、乗りやすく感じます。
とはいってもミニベロなので、なんのストレスもない快適な乗り心地、というわけにはいきません。体のポジションや安定性に関しては、700Cのタイヤを採用している自転車のほうがまさります。
サドルは固め
乗り心地において重要なサドルですが、クエロ20Fのサドルは固めです。
家周辺を短時間走っただけでも違和感があったので、長時間のサイクリングになると、お尻がヤバいことになりそうです。
というわけでサドルを別途購入。元のサドルのデザインは気に入っていたので似たようなものにしました。サイズは元のサドルより少し大きめです。
スプリングがついているのでだいぶお尻へのダメージが緩和されました。
ちなみにサドルを固定するボルトがめちゃくちゃ固くて苦労しました。なんでこんなに締めるんだっていうくらい締まっていて、自転車を横に倒して六角レンチを差し込んでハンマーで叩いてようやく緩めることができました。
走りは快適
肝心の走りについてですが、今まで乗ってきた安価なミニベロとは比べものにならないくらい速いです。
加速感があって、これまでと同じくらいの力で、1.5倍くらいのスピードが出る感じがします。
まあ比較対象が1万円台のミニベロなので、あまり参考にはならないと思いますが……。
クエロ20Fを選んだ理由
私がクエロ20Fを選んだ一番の理由は、単純にミニベロが好きだからです。
20インチの小さなタイヤできびきびと動くミニベロは街乗りに適していますし、コンパクトにまとまったボディは場所を取らず、部屋置きしても邪魔になりません。
過去3台のミニベロを乗り継いできて、今回が4台目になります。
最初に買ったミニベロは無印良品のもので、そのあとの2台はネットで買った1万円台のものです。
これまであえて安いものを買っていたのは、うちのマンションの駐輪場が野ざらしだという理由が大きいです。
雨に打たれてすぐに錆びてしまうので、わざわざ高いものを買わなくてもいいやと思っていたんですよね。
また、駐輪場には防犯カメラもなくセキュリティーがザルだったのですが、安ものの自転車なら狙われる可能性は低いですし、仮に盗まれてもダメージは少なくてすみます(防犯カメラは最近取りつけられました)。
自転車を部屋に置くようになったわけ
これまで自転車本体が盗まれることはなかったのですが、マンションの駐輪場に置いているときに、一度ライトを盗られたことがあります。
ライトなんか盗んでなにに使うんだろうと思ったくらいで、そんなに気にすることなく同じタイプのライトを買い直し、それ以来ライトは取り外して持ち歩くようにしました。
それから少し経ったある日、ライトを自転車に取りつけようとしたところ、どうやってもライトが固定できず、おかしいなと思ってよく見ると、ライトの台座がなくなっていることに気づきました。
そのときゾッとしたことを覚えています。
ライトそのものを盗むのは、自分で使ったり換金したりといった使い道が思い浮かびますが、ライトの台座を盗むというのは嫌がらせ以外のなにものでもありません。
そういう悪意を持った人が自分の家の近くにいるという事実にちょっと恐くなり、今後自転車にどんな細工をされるかわからないと思い、それから自転車を部屋で保管するようにしました。
自転車を部屋で保管するようになり、少なくとも家にいるあいだは盗難も雨で錆びる心配もなくなりました。
となると別に安ものではなくても問題ないということに気づき、今回クエロ20Fを購入したというわけです。
過去の1万円台のものは気楽に乗れたのですが、やはり安かろう悪かろうを地で行く品質で乗り心地も悪かったですし、足回りのトラブルも多かったんですよね。
3年間の盗難補償
クエロ20F以外にも、何台かの選択肢はありました。
ワタクシ舶来ものに弱いので(笑、ブルーノ(Bruno)やビアンキ(Bianchi)、ルイガノ(Louis Garneau)のミニベロにも惹かれたのですが、自分好みのデザインのものは10万円近くになってしまい、そうなると盗難のことが頭をよぎって気楽に乗れません(小心者
クエロ20Fも税込で6万円くらいするので決して安くはないのですが、太っ腹ブリヂストンさんによる3年間の盗難補償が、追加料金なしで付属しています(まあ車体の料金に含まれているのでしょうけども)。
いろいろと考えたのですが、デザイン、値段、盗難補償、これらすべてがそろったクエロ20Fがベストだなと、購入を決意しました。
盗難されたときは、新車(生産中止の場合は同等の自転車)が3,000円(税抜)で代替車として提供されるのですが、この盗難補償を受けるには、購入者登録会員への加入手続き(オンラインから簡単にできます)や、自転車の防犯登録、警察への盗難届の提出など、いくつかの条件があります。
その中でも特徴的なのは、盗難された自転車のキー3本が必要という条件です。
クエロ20Fにはワイヤー錠が付属しているのですが、そこにスペア2つを含めた3本のキーがついています。
この3本のキーを販売店に渡すことで、施錠した状態で盗まれたということの証明になるようです(本当に証明になるのか怪しいですが……)。
もし鍵をなくしてしまった場合でも、販売店を通じたスペアキーの購入、もしくは新車に付属していたものと同等の錠を購入し、手元に鍵を3本そろえておけば、盗難補償は受けられるとのこと。
もちろん盗難後ではダメなので、鍵をなくしたらすぐにスペアキーを作り、つねに手元に3本そろえておくことが必要です。
あとがき
クエロ20Fに乗りはじめて、毎日のちょっとした移動も楽しめるようになりました。
現在、テレワークで家にいる時間が長くなっている人も多いと思いますが、気分転換にクエロ20Fに乗って遠出してみてはいかがですか。
追記(24.1.11)
残念ながらクエロは製造終了になってしまったようです。
現行モデルでは、同じブリヂストン グリーンレーベルの「マークローザ M7」が、後継とまではいかないものの、一番近いモデルかなと思います。スポーティーさは若干薄れてしまいましたが。
個人的には泥よけもなにもついていないシンプルなスポーティタイプのミニベロが好きなので、このくらいの値段を出すならジオス(GIOS)のミグノン(MIGNON)を選ぶかなという感じです。