外出自粛が続いていますが、散歩やランニングといった軽い運動は、心身を健康に保ち、免疫力をアップさせるためにある程度許容されています。
ランニングに関しては、マスクをして走るべきかどうかということが現在話題になっています。
今回は、ランニング時のマスク着用問題についてまとめてみました。
今の時期のランニングエチケット
ランニング時のマスク着用については、
“ハァハァと荒い息づかいで自分の横を通り過ぎるときに飛沫がかかりそうだからマスクはつけるべき”
“ひとりで人通りの少ない場所を選んで走る分にはマスクは必要ない”
など、さまざまな意見があります。
どちらもまちがいではなく、たしかにマスク必要派がいうように、ランナーが横を通り過ぎるときに飛沫を吸い込む危険性はありますし、マスク不要派がいうように、人が少ないところで距離をあけて走るなら、合理的に考えて必ずしもマスクは必要ないでしょう。
ただこのところの世間の流れとしては確実に、ランニング時のマスクの着用は必要という方向に傾いているといえます。
その決定打となったのは、iPS細胞でノーベル賞を取った山中伸弥教授による啓発です。
山中教授は感染症の専門ではありませんが、個人でYoutubeを使って情報を発信しており、その中でランニング時のエチケットとしてのマスクを推奨しています。
また、ベルギーとオランダの大学の研究によると、走っている人の背後には螺旋状の気流ができ、ジョギングの場合は10mの感覚をあけないと飛沫を受けてしまうとのことです(時速4kmのウォーキングでも4.5m)。
ただ、こちらに関してはあくまでもシミュレーションであり、実際にランナーの呼気で感染に至るのかどうかについては異論もあるようです。
いずれにせよ、感染症専門家の意見をもとにした国の指針があるわけではないので、ランニング時のマスク着用についてはマナーの一種として広がりつつあるのが現状です。
個人的に公園のランニングコースを見た限りでは、4〜5割くらいのランナーがマスクをしている感じですね(4/25現在)。
実際に感染させる可能性がどれだけあるかはともかく、外出時にはマスクをするのがマナーになっている状況にあるわけで、ランナーに対する視線が冷たいものにならないように、今はマスクをして走ったほうがいいと思います。
また、マスクの有無にかかわらず、ランニングをする場合は、前を走る人の真後ろには入らず斜め後ろを走ることと、追い抜くときは2mほど横の距離をあけて、追い抜いた人の前にすぐに入らないことが、今の時期のランニングエチケットです。
ランナー同士だけでなく、散歩をしている人や通行人に対しても、同様のエチケットを守るようにしましょう。
ランニングコースを再考する
マスクをしていればどこを走ってもOKというわけではなく、どの時間にどこで走るのかというのも重要です。
特に今の時期はランナーが増えていて、土日の日中など公園はかなりの人出になっています。
自分がいつも走っているルートと時間にこだわらず、早朝や夜間など人出の少ない時間を調べて走るようにしましょう。
また、商店街がルートの一部になっている人は、今の時期はそこを避けるようにしたほうがいいと思います。
ネックウォーマー(バフ)を活用しよう
前述の山中教授の動画でも紹介されていましたが、冬場のランニングで使うネックウォーマーをマスク代わりに使うのもいいと思います。
マスクの最大の役割というのは自分の飛沫を前に飛ばさないことであり、今では不織布のマスクにこだわらず、布マスクをしている人がかなり増えています。
ランニングにおいても、不織布マスクではなくても口のまわりを覆うようなものであれば、飛沫の拡散はかなり防げるはずです。
ランニングの場合は口から出た唾液が背後に流れるということもあり、首まわりをすっぽりと覆うネックウォーマーは効果的だと思います。
これからの時期、ネックウォーマーを使うのは暑苦しいとは思いますが、ランナーとして周囲に配慮していることを示すようにしましょう。
もちろん誰もいないガラガラのところを走るのでしたら、あえてする必要もないんですけどね。その辺は臨機応変に。
追記(20.5.17)
実際にネックウォーマーをつけて走ってみましたが、顔に張りついて息苦しく、襟元から空気が抜けずに熱がこもるので、これからの季節は正直厳しいと思います。紹介しておいてなんですが(笑
現在ランニングをしている人をチェックしてみると、マスクの人が7割、ネックウォーマーの人が1割、マスクをしていない人が2割くらいの印象です。
シンプルにマスクを使ったほうが、顔を覆う面積が少なく首まわりの通気性もいいので、ランニングに適しているのではないかと思います。
まとめ
外出を制限している国でも、ランニングを認めているところは多いです。
しかし、フランスのパリでは日中のランニングが禁止されてしまいました。
ただしそれは、ランニング自体に感染の危険性があるからではなく、ロックダウンが続く中、市民の緩みが出てきて大勢が外に出て散歩やランニングをしたり、グループで集まったりするようになったからです(5/11の外出制限解除後は、ランニング時に10mの距離を取るべきとの指針を打ち出したそうです)。
日本でもひとりひとりのランナーが節度を持って行動しないと、パリと同じようなことになりかねません。
継続的に走っている人は、何曜日の何時から何十分走る、といったように、自分のルーティンがあると思います。しかし、いつのまにかそのルーティンに縛られてしまい、多少体調が悪くてもルーティンをこなさなければいけない、というふうになってしまいがちです。
今の状況では、体調を崩したら外出しないことが、自分と自分以外の人たちを守るために求められています。
自分の体調に耳をすませて、発熱などわかりやすい兆候以外でも、少しでも体に違和感があったらランニングを自粛するべきです。
いずれ平時と同じように走れるときが必ず来ます。今は無理をせず、まわりに配慮することを第一に考えるようにしましょう。