カシミヤなどのウール製品といえば、ドライクリーニングに出すもの、と思っている方が多いと思います。
実際にそれは間違いではないのですが、石油系溶剤を使うドライクリーニングでは、油汚れを落とすことはできても汗汚れを落としきることはできません。クリーニング店で、ドライクリーニングに汗抜きオプションがあるのはそれが理由です。
1シーズン着用したセーターやマフラーには、どうしても汗汚れはついてしまいます。
それをしっかり落とすには、水洗いが一番効果的です。
そしてこれらの製品の水洗いというのは、じつはご家庭でもできます。
今回は、カシミヤ製品を自宅で手洗いする方法について解説していきます。
カシミヤの洗い方
カシミヤを洗うときに気をつけるべきことは、生地へのダメージを抑えることと、伸び縮みさせないことです。
つねにこの2つを念頭に置いて作業していきましょう。
ちなみに今回洗濯のサンプルとして用いるのは、ユニクロ×トーマスマイヤーのカシミヤセーター。今シーズンも大活躍してくれたお気に入りの一枚です。首まわりがゆったりしているところがいいんですよね。
このセーターの洗濯表示は以下の通りです。
洗濯処理はできない
漂白処理はできない
洗濯処理後のタンブル乾燥処理はできない
アイロン仕上げ処理はできない
石油系溶剤でのドライクリーニング処理ができる(弱い処理)
ウエットクリーニング処理はできない
Fはクリーニング店向けの表示です。それ以外はナイナイづくしですが、このセーターを手洗いしていきます。
洗面器に水を入れる
まずは洗面器に水を入れます。
温水だと縮む可能性があるので、水にしておきましょう。
洗面台に直接水を張ってもOKです。
洗剤を入れる
洗面器に入れた水に洗剤を投入し、セーターを入れる前によくかき混ぜます。
洗剤の量は、洗剤に記載されている分量通り入れます。洗面器を使うなら洗剤はほんの少しで大丈夫です。
洗剤はおしゃれ着用ではなくても、液性が中性で、界面活性剤の割合が20%程度であれば、普段使っているもので問題ありません。
弱アルカリ性の場合は洗浄力が強くニットには不向きなので、中性のものを用意しておきましょう。
もっとも弱アルカリ性のものを使ったからといって、即ニットがダメになるというわけではないですが。
押し洗いをする
洗剤を溶かした水に、裏返しにして軽くたたんだカシミヤセーターを入れます。
上から両方の手のひらで、洗剤液を生地に染み込ませるような感じで、優しく押し込んでいきます。
こすり洗いが厳禁なのはいうまでもありませんが、揉み洗いもする必要はありません。上から押し込むだけで十分です。
10回ほどセーターを押したらひっくり返して、同じように押し洗いをします。
これを2、3回繰り返したら終了です。
洗いを終えたら洗面器の水を取り替えて、泡が出なくなるまですすぎます。
柔軟剤を入れる
洗面器に水を入れ、柔軟剤を入れて混ぜます。
セーターを入れて、押し洗いのときと同じように手で押して柔軟剤を染み込ませます。
洗面器の水を取り替えて、軽く1回すすぎます。
脱水する
脱水には、バスタオルを広げてセーターをはさんで水気を吸わせるパターンと、洗濯機の脱水機能を使うパターンがあります。
バスタオルのほうが生地への負担は少ないのですが、若干手間がかかるのと、水分がニットに残りやすいので乾くまで時間がかかります。
一方、洗濯機の脱水は生地への負担はあるものの、手間がなく乾燥までの時間も短いです。もっとも洗濯機は遠心力を利用した脱水なので、ギュッと絞ったり押したりするよりかは生地への負担は少ないです。
私は最初、バスタオルを使って丁寧に脱水していたのですが、段々と面倒になり(笑、そのうちに洗濯機の脱水を使うようになりました。洗濯機を使ったほうが手軽ですし、仕上がりも正直そんなに違いはないです。
少しでも生地を大事にしたい大切なセーターやマフラーはバスタオルを使い、普段着としてよく使っていたものは洗濯機を使うといいのではないでしょうか。
・洗濯機を使う場合
セーターを裏返した状態のまま洗濯ネットに入れ、洗濯機の脱水コースを選択します。
脱水は全部やり切らないのがコツです。
そうすることでニットへの負担が減り、水分が少し残ることでシワもできにくくなります。
脱水コースの途中で洗濯機が全力でまわるところがあると思うのですが、そこで10秒ほど脱水したら停止ボタンを押して、セーターを取り出しましょう。ちなみに10秒というのは私の家の洗濯機における経験上の数字なので、それぞれ最適な時間を探ってみてください。
手早く干す
脱水が終わったら、素早く洗濯機から取り出します。
若干水分の残った状態のセーターを軽く叩いて、脱水時にできたシワを伸ばしておきます。シワの数が多い場合は、脱水をやりすぎている可能性があります。
シワを伸ばしたら、平干し&陰干しをします。
いうまでもないですが、乾燥機に入れるのだけはやめましょう。高確率で縮みます。
平干し用の便利なネットがあるので、それを使うのが一番簡単です。
もし手に入らない場合は、セーターをハンガーにかけて、裾と袖の部分をもうひとつのハンガーにのせて重さを分散すると、型崩れを防ぐことができます。
安いセーターの場合、私はそのままハンガーにかけて干すこともありますが、オススメはしません。
その場合でも、肩まわりが厚いハンガーを使い、直射日光が当たらないように陰干しだけはするようにしています。
やはり強い光や熱で急速に乾燥させるというのは、ウール製品にはよくないです。
まとめて干したい人には3段タイプがオススメ。折りたたみも可能。
洗濯&乾燥完了
洗濯と乾燥を終えたあとのカシミヤセーターです。
表面がゴワゴワすることもなく、ふんわりと仕上がりました。
袖まわりが若干タイトになりましたが、着用していくうちに元に戻っていくと思います。
カシミヤ製品の洗濯の頻度
カシミヤ製品は頻繁に洗う必要はありません。
暖かい季節になって長期収納する前の洗濯はマストとして、それ以外では汚れたり臭いがついたら洗う、という感じで大丈夫です。
汗をかかなかったり、タバコや焼肉の臭いが充満するところに行かないのであれば、洗わずにそのまま着続けても問題ないです。
カシミヤ製品を長持ちさせるために、毎日続けて着ない、重ね着をするなどしてできるだけ汗を直接吸わせない、この2つを守るようにしましょう。
また、シーズン中は風通しのいいところに保管して、湿気を逃がすことが大切です。
カシミヤを洗濯機で洗うのはオススメできない
どうせ水洗いをするなら、洗濯機を使ってもいいのではないかと思うかもしれませんが、洗濯機を使うのはオススメしません。
というのも、ウールの表面は撥水力があり水を弾くので、ネットに入れて洗濯機で洗っても、洗剤を含んだ水分が生地に浸透しないことがあるのです。
上の写真のような状態だと、水洗いをした意味がありません。
手洗いでしっかりと洗剤液を生地に染み込ませる必要があります。
あとがき
丁寧に手洗いをすれば、カシミヤ製品も自宅で洗濯が可能です。
今回の記事を参考に、ぜひ自宅での洗濯にチャレンジしてみてください。
ただし生地が縮んだり傷んだりするリスクもあるので、まずは安価なもので試してみて、失敗できない高級なものについては、クリーニング店を利用するようにしましょう。