正月の帰省時に押入れの服を整理していたら、大昔に買ったパラシュートパンツが出てきました。
かなり太めのシルエットのため戦力外通告をしていたのですが、リラックスなフィッティングがトレンドの今なら活躍できるかも、と思い、再契約を果たすことに。
しかし一軍で戦うには生地の色褪せ感が目につきますし、ミリタリー感の強いモスグリーンもあまり今の気分ではありません。
というわけで、服の染色にチャレンジしてみることにしました。
ダイロンマルチ ネイビーを購入する
染めるのに使ったのは、おなじみのダイロン(DYLON)です……って私はその存在を知りませんでしたが、検索してみると、服の染色においては寡占状態といっていいほど人気のある商品のようです。
ダイロンには、マルチとプレミアムダイの2種類があります。
この2つの一番の違いは、使うお湯の温度です。
マルチは80℃で、プレミアムダイは40℃のお湯を使います。
プレミアムダイのほうがお手軽ではあるのですが、プレミアムダイはナイロンを染めることができません。今回染めるパラシュートパンツにはナイロン素材が含まれているため、マルチを使うことにしました。
色は青系にしたかったのでネイビーを選択。
ダイロンマルチには青系の色が何種類かありますが、ズボンの元の色がモスグリーンなので、濃いめの色にしたほうが失敗しなそうな気がしたのでネイビーにしておきました。
DEPTのパラシュートパンツ
今回染めるのは、相当前に買ったDEPT(デプト)のパラシュートパンツです。
明治通りの細い路地を入って地下への階段を降りていくと、なんだか自分がオシャレな人間になったような気がしたんだよなぁ(遠い目
DEPTは2011年に一度閉店し、その後2015年に創業者の娘さんが復活させたそうです。
サイトを覗いてみたのですが、レディースが中心で、テイストも自分の記憶に残っているのとはちょっと違うような。
お店の話は置いておいて、パラシュートパンツについてですが、このパンツの生地は、綿55%、ナイロン45%です。
パラシュートパンツなのでナイロンがちゃんと含まれています。
裾にはドローコードがついていて、裾を絞ることができます。これもパラシュートパンツのディテールですね。
あまりうまくいきそうな気がしないのですが、このまま寝かせておいてもしょうがないので、このズボンをダイロンで染めます!
染める前の準備
使用する材料
・ダイロンマルチ(ネイビー) 4袋
・カラーストップ 1箱
・塩 60g
・80℃のお湯13リットル(1リットル+12リットル)
ダイロンマルチ1袋で、250gの繊維を染めることができます。
パラシュートパンツは500gあり、ダイロンマルチ2袋分なのですが、黒、紺、茶の濃色は染料を2倍にする必要があるらしいので、4袋購入しました。
塩は、繊維250gの場合は30gなので、倍の60gを用意。
カラーストップは、染色後の繊維の色落ちを防ぐために使います。
必ず使わなければいけないものではないようですが、念のため使用することにします。
お湯は、事前にダイロンマルチを溶かすための分と、パラシュートパンツを浸けるために必要な分です。
繊維250gの場合は500ml+6リットルですが、倍量必要なので、1リットル+12リットルとなります。
使用する道具
・厚手のゴム手袋
・ボウル
・泡立て
・45リットルのゴミ袋
ゴム手袋は、染料に入れたズボンをかき混ぜるときに使います。
80℃とかなり高温なので、厚手のものを用意しました。
トングを買おうか迷ったのですが、必要ない気がしたので見送りました。
ボウルと泡立ては、ダイロンマルチを溶かすために使います。
今回は、家にあった使っていないボウルと泡立てを使用することにしました。
このボウルはプラスチック製ですが、ダイロンを入れると色がついてしまうので、その後も使いたいのであれば金属のものにしたほうがいいです。
今回ダイロンマルチを使うにあたって一番悩んだのが、なんの容器を使って混ぜるかについてです。
13リットル入る鍋は家にありませんし、この一回のためにポリバケツを買うのもためらわれます。
いろいろ考えた結果、キッチンシンクにゴミ袋を広げて使うことにしました。
自分の場合は、キッチンに2つあるシンクのうち、普段使っていないほうを使おうとフタを開けてみたらサビが結構あったのと、水が流れていかないようにするための栓をなくしてしまったので、シンクにゴミ袋を広げてテープで止めて使用しましたが、きれいな状態のシンクならゴミ袋を使う必要はないです。
お湯が漏れないようにゴミ袋を2枚重ねにしようと思ったら残り一枚しかなかったので、そのまま一枚でやることにしました(大雑把
80℃のお湯を13リットルも入れて大丈夫かなと思ったのですが、結果として問題なかったです。
ダイロンマルチでいざ染色
家にある一番大きい鍋は一度に4リットルのお湯を沸かせるので、3回に分けて12リットル用意することにしました。
温度は80℃必要ですが、うちには温度計がありません。
3回に分けてお湯を沸かすあいだに、おそらく最初にシンクに入れたお湯の温度が冷めてくると思うので、お湯の表面がポコポコとなり沸騰近くまで温度が上がってから、シンクに流し入れることにしました。
3回目のお湯の投入が終わって、塩を入れたり染料を入れたりしているあいだに、たぶん80℃くらいになっているはずです(適当
キッチンシンクにお湯を溜めるあいだに、ダイロンマルチをお湯で溶かしておきます。
4袋すべて開けて、1リットルのお湯を入れて泡立てを使ってしっかり混ぜ合わせます。
染料はどんなに気を使っても跳ねるので、作業を開始する前にエプロンをつけて、まわりのものをすべてどかしておくことをオススメします。
私の場合はエプロンを持っていなかったので、服を脱いで下着姿でやりました(笑
お湯と染料の準備が終わったら、いよいよ染色の開始です。
まずはお湯に塩60gを入れて、泡立てを使ってかきまわします。
お湯を沸かしたり染料を作ったりしているうちに、塩のことを忘れがちなので、気をつけましょう。
次に、ボウルに溶かしたダイロンマルチを入れます。
こちらも泡立てでしっかり混ぜます。
すべての準備が整ったら、いよいよ服を投入します。
ポロシャツも投入
染料にズボン一本を入れてみたところ、まだ少し入る余裕があったので、ユニクロandエンジニアドガーメンツのオーバーサイズポロシャツも染めてみることにしました。
ユニクロandEGのこのポロシャツは、元々人気があった上にたしか追加生産もしたと思うので、めちゃくちゃ世に出まわっています。去年の夏に、一日3人これを着ているのを見たこともあります。
そんなこともあり着るのをためらってしまったのですが、これをネイビーに染めればオリジナリティが出て着る機会も増えるはず、と追加で投入しました。
ちなみにこのポロシャツは、重さが300gで素材は綿100%です。
手揉み20分、浸け置き20分
服を投入したら、ここから20分ひたすらかき混ぜ続けます。
ムラにならないようにするためにはここが一番重要だと思っていたので、染料をしっかり染み込ませるために、手揉み洗いをするように念入りに衣類をかきまわしました。
厚手のゴム手袋をしていたのですが、それでも結構熱かったです。なんとか耐えられる熱さだったものの、もう一枚内側に手袋をしておいたほうがよかったなと思いました。
20分かきまわし続けたら、そこから20分浸け置きです。
浸け置きといってもちょこちょこかき混ぜる必要があります。
水洗い
浸け置きが終わったら、服を水洗いして余分な染料を落とします。
なかなか水が透明にならなくて、結構長い時間水洗いし続けました。
カラーストップで色落ちを防ぐ
水洗いが完了したら、次にカラーストップを使います。
カラーストップの溶剤をお湯に入れて衣類を浸けるだけなのですが、お湯を溜める用のゴミ袋がもう残っていないことに気づき、慌ててコンビニに買いに行きました。すでに染色は終えているので、慌てる必要もなかったんですけどね。
カラーストップは一袋で1kgまでの繊維に対応しています。
繊維表示に基づく最高温度のお湯が必要とのことなので、服のラベルに書いてあった40℃でやることにしました。前述したように温度計がないのでだいたいの温度ですが。
お湯の量は決まっておらず、衣類が浸かる程度でいいようです。
染めるときの半分の6リットルのお湯を用意しました。
お湯を入れ、カラーストップを全量投入し、泡立てを使ってよく混ぜます。
あとはズボンとポロシャツを入れてかき混ぜるだけでOKです。
かき混ぜるというか、染めるときと同様、揉み洗いしました。
水洗いして余分な染料を流したのですが、カラーストップのお湯に入れると、そこからさらに相当な量の染料が流れ出します。
15分経ったらもう一度水洗いします。
これで色止め作業は完了です。
このあととりあえず一回洗濯したのですが、染料のにおいが生地に少しついていたので、念のためもう一回洗濯機で洗っておきました。
しばらくはほかの洗濯物と一緒に洗濯しないほうがいいですね。カラーストップを使ったとはいえ、色移りの可能性があります。
洗濯後は陰干しが推奨されているものの、面倒だったので普通に日にあたるところに干しました(怠惰
染色完了!
洗濯後のパラシュートパンツです。
色ムラもなく完璧に染めることができました。
ポリエステルは染まらないので、縫い目の部分は元々使われていた糸の色のままです。
ポロシャツのほうはかなり濃く染まりました。光の加減によっては黒にも見えます。
元の色が濃いめのオリーブ色だったことが影響しているのかもしれません。
肩まわりのステッチが思いのほか目立ちますね。これはちょっとマイナスかも。
とはいえ染まり具合自体は完璧です。
うまく染まるかなと不安だったのですが、予想以上にいい感じに仕上がりました。
ダイロンマルチでムラなく染めるためのまとめ
・容量を守る(濃い色は倍量)
・高温のお湯でやる(分割してお湯を入れる場合は冷めることを計算に入れる)
・全力で揉み洗いする(繊維に染料を押し込むような気持ちで)
いやー、疲れました。
準備や後片づけも含めると、半日がかりの作業です。
絶対にこの作業を繰り返したくないと思い、一度で完璧に仕上げようと気合いを入れてやりました。
ムラができても染め直しでカバーできると思いますが、やるからにはちゃんと準備して、一回でバシッと決めたほうがいいです。
とりあえず私は当分服の染色は遠慮したいです(笑
作業の面倒さはさておき、結果としてすばらしい染め上がりになったので満足しています。
この記事を参考に、みなさんもぜひチャレンジしてみてください。